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  • 執筆者の写真江夏 泰治郎

宮崎県都城市の庭園 - Vol.1 -

更新日:2022年6月10日

宮崎県の企業様がお持ちの、登録有形文化財登録となる建物と併設された庭を今回は一新されたいとのこと、ご依頼をいただきました。


2020年夏、第一段階として職人と共に宮崎へ渡り、荒れた庭を整えるところからのスタートです。数日間は数々の庭石を集めたり動かして整頓します。またほとんど手入れがなされず荒れたお庭の手入れも同時に行いました。その際貴重な灯籠などの石造物なども発見し、それらは大事に移動・保管をし、目まぐるしい毎日を送りました。その甲斐あって造園を行う下地作りをすることができました。


ゆくゆくは登録有形文化財登録がなされ、建物が会社の資料館になるとのことでしたので、外部からのお客様を出迎える庭の演出も必要になってきます。まず大切にしたのは、広い土地の地割りです。地割りとはいわば、建築における間取りと同じで、土地を区分して、それぞれに用途を決め、また動線を決定し使い勝手と管理のしやすいお庭を計画していきます。同時に美観を備えたものにしていくことも大切です。周りの景観や周辺環境をしっかり調査・観察を重ね、今ある良質な材料(樹木や石材)を活かして見せ場を作るを大切にしました。


打ち合わせを重ね、態勢を整え、2021年3月本格的な造園がスタートしました。

長い施工期間でしたので、数回に分けてご紹介させて頂こうと思います。

今日はまず第一弾です。



PHOTO-001

敷地の東側を見た様子です。建物の西側には大和塀を設置する予定です。

塀が完成したらもう見れない?角度からの一枚。土地はまだ荒々しい状態です。



PHOTO-002

北東を見た様子です。満開のコブシとクスノキが出迎えてくれました。



PHOTO-003

西側から南側に周り、敷地内に進み入ります。奥に続く広いお庭です。



PHOTO-004

敷地の隅っこから撮った敷地の全景です。この建物を取り囲む全ての方位のスペースに手を加えます。造成工事を行った時にいらない樹木類は伐採・抜根を行いましたので、今ある植木は活かします。今回の現場は造園だけではなく、建物の補修や地盤工事など様々な作業が同時に行われ、とても賑やかな現場です。



PHOTO-005

土は南九州の風土が生んだ豊かな黒土でしたが、排水設備が整っておらず雨が降ったらこの有様です。なかなか水が引かず我々を悩ませました。

ショベルの目の前のツバキは一度根巻きの上掘取りし、美しく見える角度・位置になる様に調整しました。



PHOTO-006

ツバキの周りは築山になります。景石をバランス良く据えていきます。



PHOTO-007

大方の整地が終わると、白線で地模様を印します。このラインの内側が植栽になる部分。

築山や塀の位置出しなどを行います。



PHOTO-008

ラインに則って整地が進んできました。景石に使用する石は元々こちらにあった物です。

時代を経てまた蘇る石たち。中には今では手に入らない貴重な物もあり、お客様を出迎える役目を担ってもらうことにしました。



PHOTO-009

地面が低い箇所は土を足し、地盤改良をしたりと、少しずつ生まれ変わっていきます。



PHOTO-010

建物から庭に出る飛石を据えました。歩く人の歩幅をイメージをしながら、合う石を一つずつ選びます。



PHOTO-011

庭の片隅に徐に置かれていた龍の彫刻が施された石灯籠。歴史あるとても立派なものです。この地方の特有のものでしょうか。馴染みのない作りをしています。おそらく明治期のもので、特別古いものではないですが、美しい手仕事が見えて、たいへんいいものです。

玄関から出た時に違和感なく見える位置を探りながら、新設予定の門から入った時にも目立つ様にと据えます。この場所のシンボルになるようにと据えていきます。



PHOTO-012

奥の庭にも、京都から持ってきた石灯籠を据えます。西之屋型の灯籠です。



灯籠の設置は特に気を遣う作業です。慎重に正確に、そしてバランス良く。

庭の輪郭となるものが少しずつ増えてくると全体像もなんとなく見えてくる気がします。


さて次は、さらに進む造園の現場の様子をお伝えしたいと思います。

Vol.2の記事もぜひご覧下さい!


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