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執筆者の写真江夏 泰治郎

京都府相楽郡精華町 H邸の庭

更新日:4月26日

閑静な住宅街の一角の新築の庭を施工させていただくことになりました。

茶道をされている施主様、新築に際してお茶室を設けられるとのことで、庭はお茶庭を、リビングからも庭を楽しめるようにというご希望がありました。

また車2台が停められる駐車スペースについても依頼をいただきました。


敷地には建物だけが建っており、他の区画はされていませんでしたのでゼロからのスタートです。


先ずは駐車スペースを整えます。


庭は3つのエリアに分けて計画することにしました。

①リビング前の庭

②玄関アプローチ周りの庭

③茶庭(内露地)


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①のリビング前の庭

駐車スペースの手前にあり、ピンコロと葛石で囲って横のラインを強調し横長に見えるよう工夫しました。庭を囲う木柵も軽快な印象になるようにシンプルな作りにしました。

植栽はヤマツツジ、オトコヨウゾメ、アズキナシなどの雑木類を使って軽い印象を持たせています。



リビング前には濡縁を設け、いいお天気の日には腰をかけて緑や花を楽しめるようなスペースとなっています。



②玄関アプローチ周りの庭

植栽はオオカメノキ(※)、オオヤマレンゲ、ジューンベリー、マルバノキ(※)、イロハモミジ、サカキ、カラタネオガタマ(※)といったものを選びました。 

ここも軽い印象になるようにほぼ雑木類で構成しています。

※のものは利休七選花の中の3品目です。



お茶事にも関わる外露地でもあるので、普段は飛び石延段として使ってもらえるように石を据えました。それがお茶事の時には玄関ポーチの脇に床几などを奥と腰掛け待合として使えるように二役を兼ねています。




玄関前のアプローチや犬走も施工させていただきました。

砂利の洗い出しでレンガで囲っているので和洋折衷の印象となるように用いる材料を工夫しています。




③茶庭

いよいよ内露地の施工です。こちらには蹲を設けました。役石は裏千家の流派に沿った据え方をしています。

飛び石については着物での足運びを想定して、歩き易い間隔を何度もシュミレーションして設置しました。道路沿いは板塀で囲い、手前の庭と比べて一目を遮り、少し暗めな落ち着いた印象になるようにしました。

植物は、ツガ、ヒサカキ、モッコク、ヤブツバキ、イロハモミジ、ナツツバキ、ヤマコウバシ、アセビ、などとしました。他の庭と比べて常緑の樹木を多用しています。

その足元にはエビネやシュンランなど山草類を植え、さらに杉苔で覆い、内露地にふさわしい市中の山居のような雰囲気を作ることができました。





内露地を囲う板塀は杉の幅の狭い板を縦張りにし、すっきりとした印象があります。

木柵の横のラインとは対照的な縦のラインを意識して作成した板塀は現代風な建物との調和が取れています。


機能的で使い勝手がよく、尚且つ美しく仕上がりました。

エリアごとに役割を持たせ、それぞれが有機的に共存し美しく引き立て合う空間が出来上がったように思います。園芸を楽しまれる施主様なので四季折々の花や緑が楽しみだと、大変喜んでいただけて本当に良かったです。

これからも末永くよろしくお願い致します。

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