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T邸アプローチ周り造園工事

Writer's picture: 江夏 泰治郎江夏 泰治郎

こちらの現場は近所に別のお得意様がおられて、そこをよく通られる時にそちらのお庭を見てお気に入りいただいたということでご指名いただき造園をさせていただくこととなりました。比較的新しい建物とお庭・アプローチがあるもののお庭がお気に入りではないということで、一新して庭を作り変えてほしいというご依頼でした。確かにアプローチは樹脂コーティングされた砂利敷、石積みは石の目地をモルタルで塗り固められたもの(モルタルの面積のほうが大きい?)で道路から見える”顔”と言える部分が残念な状態でした。一番初めにこれらを取り除くことから始めましたが、ことさら頑丈に作られていたので大変骨が折れました。特にアプローチはワイヤーメッシュ入りの厚いモルタルで固められていて、車や重機が通ってもいい位のもので、人が行き来するという用途からするとオーバースペックなものでした。愚痴はここまでとして、今回造園した内容に関してご紹介できればと思います。

 以前は御影のごろた石で積まれていたものを、いわゆる雑石と和良石を組み合わせいろんな種類の石を組み合わせ積んでいきました。距離や高さがそれほどないので今回は30cmまでの小さなサイズの石のみで積みます。大小の石をバランスよく強固に積み上げ落ち着いた自然ふうな仕上げとしていきます。裏はモルタルで止めていきますが、表面にはモルタルが見えないようにします。アプローチを挟んで二箇所の石積みを設けました。

 石積みが完成すると次はアプローチ工事です。厚いモルタルの層を取り除き、枠板で範囲を決定し、御影の板石を位置決めし張り石の骨格を決め、張り石(今回は鉄平石)の大きなサイズのものを大まかに配置した後中〜小サイズの張り石をしていきます。目地幅をなるべく一定に保ち丁寧に一枚一枚据えていきます。今回のアプローチは延段風でいわゆる”行の延段”で少しくだけた印象を受けるような仕上げとなりました。玄関まで直線ではなく短冊を一部重ねて並べたように形状を決定し、リズミカルに景色に変化をつけました。

 既存の植物(モミジ・サルスベリ・玉竜など)はなるべく再利用し、あらたにアオダモやアズキナシ・オトコヨウゾメなど雑木類を主体とした樹木を植栽しました。道路側の庭には足元にコグマザサを植栽し雑木林の中の雰囲気を持たせ、アプローチは全体にスギゴケを敷き詰め京都風の小道の感覚を出しつつも、植栽は雑木類であるため柔らかい印象です。

 他には目隠しに黒竹を列植させたり、裏庭の小さなスペースにはマンサクを植栽しました。建物や塀に囲まれたこのスペースに早春マンサクの黄色い花は目がさめるようで、点景としていい役割を果たしています。

 造園を終えて、お庭の改造の楽しさと難しさを身を以て感じることができ、いい経験となりました。全体の出来栄えもほぼイメージどおりとなり、お施主様にも喜んでいただいて大変幸せであります。


























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