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枚方市S寺の庭

Writer's picture: 江夏 泰治郎江夏 泰治郎

昭和57年当事務所を設立して間もない頃の造園からお世話になっているお寺で庫裡の大規模な改修工事が行われ、それに伴う形でお庭も大幅な改修をさせて頂くことになりました。



庫裡の玄関へ向かうアプローチは以前はモルタルで固めただけのシンプルなものでしたが、今回御影石で真の延段(切石のみを用いた格式が高いアプローチ)をご提案させて頂きました。各所に切石に加工を加えそれらを組み合わすことで、凛とした佇まいでリズミカルな印象も受けるデザインとなっています。

また本堂へ至るアプローチは新たに延石や板石をあちこちに配置した洗い出しの通路としました。以前の階段で生じた高低差をスロープに変更することにより車椅子でも本堂へ行きやすくしました。洗い出しには砂利の表面が角張ったもの(安曇川砂利)を使用し雨が降った時などでも滑りにくい仕様となっています。



以前あった大きな池は面積が大きかったのと漏水が激しかった為、大規模な改修が必要でした。以前あった護岸の石材は全て取り払い、縮小して穴を掘り直し万全な防水工事を行い護岸の石組をやり直しました。同時にこの池を取り囲むように植栽を見直しました。四季折々の植物たちが生命の営みを知らせてくれます。



鐘楼前のスペースは雑多な印象でしたが不用品や植栽を見直しました。グランドカバーにはタマリュウを植栽し、雑草が生えにくくメンテナンスのしやすいものとなりました。すっきりとした印象となりました。



庫裡の中庭に関しても以前まであった流れを取り壊し、石組はそのまま活かしつつ造園しました。大きくなりすぎた植木や不要な石材は撤去・整理し、同時に大幅な剪定作業も行い整った庭となりました。地苔の生えていない箇所については新たにスギゴケを植栽し斜面の土砂の流出を抑えています。

今回大規模な工事となり、以前のお庭からすると生まれ変わった様なものとなりました。これからもこのお庭を通して末長くお付き合いさせて頂きたいと思います。



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