少し前になりますが、社員を連れて静岡県浜松市にある摩訶耶寺に研修で拝観に行ってきました。
静岡県随一の古刹であるこのお寺は、重要文化財の仏様たちがおられ、これらも一見に値するのですが、何と言っても見るべきものはおそらく鎌倉初期の造園と考えられる石組み庭園です。他の鎌倉期の古い石組み庭園として名高いのは京都松尾にある、苔寺で名高い西芳寺のものです。摩訶耶寺の庭園は西芳寺の物と比べて、正直一般に広く知られているとは言えず、参拝も多いとは言えませんが、造園当時の姿をほとんどそのまま残しており、また、遠州地方の風土からか苔寺の様に石組みが苔などに覆われることがなく、石組みの構造がよくわかるのと、石庭の植栽が控えめであるので庭全体の石組みの配置もよくわかることから、当事務所は定期的にこちらに石組みの見学に訪れています。
蓬莱出島や三尊石・鶴島などいずれも手本となるべき力強い石組みであります。巨石を用いずこの迫力を出す見事さ、巧みさにまず感動します。石同士の繋がりに配慮し、石組みの稜線を美しく描き、それぞれ石組みの型を作り出すことに成功していると感じます。角のある立石、天端の平らな石それぞれの適切に傾きを設け石組み全体として一体感を感じさせます。またこれらの石組みは嫌味な主張を全面に出すことはありません。あくまで自然に当時の仏教世界観を映し出しているように思います。
正直一個一個の石はそんなに優れているようには思いませんでした。各石には欠点がある場合が多いです。欠点がある石は他の石で補い、複数の石が一体となっています。当時の造園家の技術や美意識に敬意を感じます。我々も材料を見つめ、それらの本質を捉え、組み合わせ、美しいものを作り上げる感覚を養っていきたいなぁと思います。そのためには、飛鳥時代からある古い庭園文化から学び、現代の技術や材料を効果的に用い、まさに温故知新で現代庭園を作り上げていきたいと思っています。
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